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  • 「43歳から始める女一人、アメリカ留学」第7話(ライクス)- 2025.04.29(火) 09:00

「43歳から始める女一人、アメリカ留学」第7話

ライクス

2025.04.29(火) 09:00

「43歳から始める女一人、アメリカ留学」
第七話・・・片付けられない女と潔癖女の同居生活

 東京でのルームメイトは、私が取材で知り合った女性だった。彼女は外資系企業で働くキャリアウーマンで、3つ年下の当時39歳。私は、経済的に家賃支払いが大変だったし、何より、長い一人暮らしが寂しかった。もし気の合う人がいれば、ルームシェアしてみたいなあ、隣みたいに。そうぼんやりと考えていた。

 でも、彼女のような高給取りが、なぜ、高円寺の古家でルームシェアを? 

 このもっともな疑問はさておき、なぜ、この片付けられない家に越してくる決意をしたのか、の方が、私にとっては疑問だった。というのも、彼女は、かなりハイレベルなきれい好きだったのだから。

 後者のなぜ、については、その壁(片付けられないVSきれい好き)を越えて、2人の相性がよかったとしか、いいようがない。

 最初に会った時から、彼女とは、また会いましょうと約束をして、それを2度、3度くり返した。ルームシェアの話が出たのは、3回目に会った時だった。5月に出会い、12月には同居していたのだから、電撃結婚カップルのような話である。

 でもそれも、裏を返せば、きれい好きであっても直情径行型の人間であるという点で、私たちは深く一致していたということなのだ。

 「ミホちゃんも、たまには掃除機かけてよ」

 「えー、だって汚れてないじゃん」

  「目に見えなくても、絨毯は汚れてる! 週に2回はかけたほうがいいの。病気になるよ」

 私たちのルームシェア生活は、こんな対立の連続だった。

 いい年の大人が、それも恋愛関係のない同性が、一緒に暮らせばささやかな波風は立つものだ。でも不思議なことに、私たちは、掃除・清潔関連以外の問題で、対立したことは一度もなかった。夜な夜な、これまでの人生の話、恋の話、仕事の話を、率直に語り合った。

 この東京でのルームシェア体験、私にとっては、きれい好きの女性の暮らし方を目の当たりにする、よい機会になった。

 学んだのは、ただ一つ。きれい好きの女性は、掃除を週末の予定として組み込んでいる、という事実だ。驚愕の発見だった。

 というのも私にとっては、掃除や片付けは、空いた時間にする、という位置づけだったから。

 仕事が一段落したら、片付ける。つまり優先順位は、仕事の次。

 でもきれい好きの人はそうではない。掃除や片付けを済ませてから、買い物にいったり、本を読んだりくつろいだりするのである。驚きだ。

 きれい好きの読者は、この筆者は何を言っているのかと思うだろう。けれども片付けられない人間にとって、この発見は、ザ・パラダイムシフトをもたらすほど大きなものだったのだ。
 
 もちろん、言うは易く行うは難し。頭で分かっても、人間の行動パターンは、そう簡単に変わるものではない。

 結局、この暮らしの中では、私は大して片付けられるようには、ならなかった。

 本当のパラダイムシフトは、彼女とのルームシェアを終えてから訪れた。ある日、自分の部屋の汚さに、発作が起きそうになったのだった。

次回、またね。

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