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- 「43歳から始める女一人、アメリカ留学」 第3話(ライクス)- 2025.03.25(火) 09:00
「43歳から始める女一人、アメリカ留学」 第3話
ライクス
2025.03.25(火) 09:00
「43歳から始める女一人、アメリカ留学」
第三話 ・・・写真のマジックにひっかかった!
「まだ片付いてないけどね」
ちょっと照れくさそうにルーミーは言う。
いや、これ、片付いていないというレベルではない状態なんですけど。
リビングは20畳はあるに違いない、広々とした空間だ。日本の家には今ひとつそぐわない大型ソファーも、この広さならしっくりくる。でもそのソファーの上には、ベッドシーツのような布やら、小さな棚、椅子、古着のような服などが、山になって積み上げられている。
片付いていないリサイクルショップ、とでもいおうか。それにほこりっぽいし。
「ここがあなたの部屋」
ドアを開けると、これまた驚いた。だってこの部屋は、写真のまま、なのだ。
ベージュのカーテンにベージュのベッドカバー、ベッドサイドのテーブルにはカーテンと似た柄のシェードのかかったランプが置いてある。寝ながら読書もしやすそう。色彩が落ち着いた色に統一されているせいだろう、入った瞬間に、気持ちのいい場所だと感じた。
そう、この部屋は写真のまま。 隣のリビングルームとの落差は、いったい何を意味するんだろう。
家を案内されるうちに、要するに、彼女はウソはついていないと分かった。
彼女の送ってきた写真は4点だ。私の部屋、自分の顔写真、ボクサー犬ミコの写真、庭を走っているニワトリの写真、そして家の外観。この4つには、共通項がある。
どれも、好きにならずにいられない、と思わせるものだった。そう、彼女は大の動物好きで、ボクサー犬、ニワトリ4羽(!)のほか、インコ2羽を飼っている。彼女のルームメイト募集広告には、こうあった。
「毎日、産みたての卵を食べられます!」
44歳、独身女性がニワトリを4羽飼っているって?
日本の感覚では、まず、考えられない。でもこの人なら、と思わせてくれたのが、彼女自身の笑顔の写真だった。 ノーメークで、短い髪、小さな顔。 素朴なほほえみ。
私は彼女の笑顔を見て、きっと大丈夫だ、とのオッズに賭けたのだった。
だから、ウソはついてない。リビングの写真は見ていなかったし、ついでに言えば、ダイニングキッチンの写真もね。色んなものが食卓に積み上がっていて、使えないんですけど
もう一つ、ついでに言わせてもらえば、インコの写真がなかった理由も分かった。インコは普通はカゴで飼うでしょう。
この家では、インコは屋内放し飼いなのだった。 翌朝から毎日、リビングを飛び交うインコの襲撃に遭うとはまだ知らず、この日は、とにかく一度寝かせて、とベッドにもぐりこんだ。
次回、またね。
フリーライター
長田美穂さん(ながた みほ、1967年 - 2015年10月19日 )
1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科を卒業後、新聞記者を経て99年よりフリーに。
『ヒット力』(日経BP社、2002年)のちに文庫 『売れる理由』(小学館文庫、2004年)
『問題少女』(PHP研究所、2006年)
『ガサコ伝説 ――「百恵の時代」の仕掛人』(新潮社、2010年)共著[編集]
『アグネス・ラムのいた時代』(長友健二との共著、中央公論新社、2007年)翻訳[編集]
ケリー・ターナー『がんが自然に治る生き方』(プレジデント社、2014年)脚注[編集]
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